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第28話 誰もいない教室の出席

Author: なつめ
last update publish date: 2026-08-19 09:14:23

 教卓の後ろから聞こえた「ひとり、たりない」という声が消えたあと、六年二組には妙な静けさだけが残った。

 鬼束美怜はスマートフォンを握ったまま、教室の最後列を見つめていた。

 三十二組の机と椅子。

 窓際から六番目だけ、椅子が机の奥へきちんと押し込まれている。先ほどまで床へ落ちていた三十二人分の影も、今は跡形もなく消えていた。

 黒板には白い文字。

 まだ五人

 誰も触れていない。

 燈夜が消した名字も、美怜自身が書いた〈KOWASU参上〉もなくなっている。

「録れてる?」

 美怜が小さく訊いた。

 津守怜吾は返事をせず、胸元のカメラを確認した。

 赤い録画ランプは点灯している。

「映像は残ってる」

「じゃあいいじゃん」

「何がいいんだよ」

 斑鳩ちとせが振り返った。

 声には、隠し切れない苛立ちが混じっていた。

「今、教卓の後ろから声したよね」

「だから撮れてるならいいって意味」

「そういう話してない」

「じゃあ何。帰る?」

 美怜は口元だけで笑った。

「せっかく六時六分に間に合ったのに?」

「……まだ六時五分だよ」

 ちとせの言葉に、全員が止まった。

「は?」

 燈夜が腕時計を見
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  • お前も見ていた   第29話 返事は六人分

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